更年期障害

閉経を挟んだ前後5年間、45歳〜55歳あたりの期間が「更年期」になります。
この更年期に起こる、病気が原因ではない心身の不調のことを「更年期障害」と呼びます。
更年期障害は、自律神経の乱れが大きく関与すると考えられています。

●自律神経とは

更年期障害の原因や症状についてみていく前に、まずは自律神経の仕組みを知っておきましょう。

自律神経とは、脳や脊髄から枝分かれして、全身に張り巡らされている末梢神経の一種です。
内臓の動きや循環、呼吸といった機能を調整する役割があります。

●交感神経、副交感神経

自律神経は、交感神経と副交感神経の2つの種類があります。
交感神経はおもに昼間の活動時に働いている神経で、副交感神経は休息時に働く神経です。
お互いがアクセルとブレーキの役割をすることで、体内の環境が一定に保たれています。

・自律神経が乱れるとは

自律神経の乱れは、交感神経と副交感神経のバランスが崩れた状態を指します。
自律神経は全身の機能を調整しているため、バランスが崩れることで、身体面に限らず精神面にも影響を及ぼす可能性があります。

●更年期に自律神経が乱れやすい原因

・ホルモンバランスの乱れ

閉経にともなって卵巣の機能が低下し、エストロゲン（女性ホルモンの一種）の分泌が急激に減少します。
体内にエストロゲンの量が減るため、脳から卵巣に対してホルモン分泌を促すように指令が出されます。

しかし、卵巣からは十分なエストロゲンが分泌されません。
ホルモン分泌に関連する脳の「視床下部」は、自律神経の働きを調整する中枢部位でもあります。

女性ホルモンの低下によって視床下部が混乱を起こし、自律神経の乱れにつながることが考えられます。

・ストレス

精神的なストレスも自律神経の乱れを生む原因の1つです。
とくに更年期は、子どもの自立や介護、仕事での責任などが重なり、ストレスがかかりやすい時期といえるでしょう。

自律神経の乱れから、更年期にはさまざまな症状があらわれやすくなっています。
更年期障害の症状例は以下の通りです。

●のぼせ、ほてり、発汗

「ホットフラッシュ」と呼ばれる、のぼせやほてり、発汗などが更年期障害の特徴的な症状です。
「顔だけが汗をかく」「上半身が急に熱くなる」「冬でも大量の発汗がある」といったお悩みを更年期障害ではよく耳にします。

●息切れ、動悸

更年期には「少し歩いただけで息が切れる」「急に胸がドキドキしてしまう」といった、息切れ・動悸の症状がみられやすいです。
自律神経の乱れから、呼吸や循環の調整に狂いが生じることが考えられます。

●手足のしびれ

自律神経の乱れから血行が悪くなり、手足のしびれを生じる場合があります。

●頭痛・肩こり・目まい

交感神経が過剰に働くと、全身の筋肉がこわばってきます。
筋肉の緊張から血の巡りが悪くなり、頭痛や肩こりといった症状を引き起こすことがあります。
また、血圧が上昇することで、めまいをともなう場合もあります。

●精神的症状

ホルモンバランスの乱れによって、以下のような精神神経系の症状が起こる場合もあります。

・イライラ
・不安感
・うつ
・意欲の低下
・不眠、疲労感
など

●男性の更年期障害

加齢にともなうテストステロン（男性ホルモン）の分泌低下から、男性にも更年期障害の症状がみられることがあります。
しかし、女性に比べてホルモンの分泌低下が穏やかなため、症状が軽いケースが多いといわれています。

●まずは医療機関にご相談ください

自律神経の乱れではなく、何かの病気が原因で、上記の症状があらわれている場合もあります。
心身の不調を感じましたら、まずは医療機関に行って検査を受けるようにしましょう。

自律神経のバランスを整えるためには、以下のような対処が有効とされます。

●適度な運動

適度な全身運動には、気持ちをリフレッシュする作用があります。
また、運動後の心地よい疲労感によって、睡眠の質も向上してくるでしょう。

これまで運動する習慣がなかった方も、毎日20〜30分ほどのウォーキングから始めてみてください。
有酸素運動によって呼吸や循環機能を鍛えることで、息切れ・動悸の改善も期待できます。

・筋力トレーニング

男性の更年期障害には、筋力トレーニングがよいとされています。
筋力を鍛えることで、男性ホルモンの分泌を促せます。

●ストレスを溜めない

ストレスは自律神経のバランスを崩す大きな原因です。

・映画鑑賞をする
・好きな音楽を聴く
・軽い運動をする
・自然に触れるようにする
・ゆっくり入浴する
など

上記のような対処で、ストレスをこまめに発散するようにしましょう。

●深呼吸をする

深呼吸には、気持ちを落ち着かせる効果を期待できます。
以下の要領で、深呼吸を繰り返しましょう。

・鼻からゆっくり息を吸い、お腹に空気を入れる
・口からゆっくり息を吐き、お腹の空気を吐き切る

深い呼吸をすることで、動悸の改善も期待できるようになっています。

●大豆製品・サプリメントを摂取する

納豆や豆腐、きな粉など、大豆製品を積極的にとるようにしましょう。
大豆に含まれるイソフラボンには、女性ホルモンと似た作用があるといわれています。
また更年期障害の方向けに、ホルモンバランスを整えるサプリメントも市販されています。

●規則正しい生活を心がける

不規則な生活習慣を送っていると、自律神経を乱しやすくなります。
起きる時間と寝る時間をなるべく一定にして、規則正しい生活習慣を心がけましょう。

また体内リズムを整えるためには、以下のような点にも気をつけてみてください。

・朝日をしっかり浴びる
・朝食をとる
・寝る90分前に入浴を済ませるようにする
・寝る1時間前からはスマホやパソコンはみない
など

当院では、更年期障害の症状に悩まれている方に対して鍼灸施術+温熱療法をおすすめしています。

鍼灸施術+温熱療法は、身体の緊張緩和に優れている施術であることに加えて、神経のバランスを整える効果が期待できます。
女性ホルモンの分泌が改善され、更年期障害のさまざまな症状緩和につながります。

また、必要に応じて骨盤調整も行う場合があります。
更年期障害の発症に骨盤のゆがみが関わっていることもあるため、調整施術でバランスを整えていきます。
骨盤調整によって不良姿勢が改善されると、血液やリンパの流れも促進され、自然治癒力の向上にもつながります。

不良姿勢の改善は1人の力で解決することはなかなか難しいかと思いますので、ぜひ一緒に改善を目指していきましょう。
施術後には患者様自身で行えるセルフケア方法もアドバイスいたします。

 

更年期障害の症状を感じると「自分が歳を重ねてしまった」と後ろ向きな気持ちになる方も中にはいるかもしれません。
ですが、ネガティブになる必要はありません！
この機会を「自分の身体の向き合う時期」とポジティブに捉えましょう！

食事・働き方・運動などさまざまなことを意識するだけで、今までよりも前むきになれることもあるでしょう。

ぜひ当院で一緒に更年期障害のお悩みを解決していきましょう！