産後骨盤調整

骨盤は身体の土台となる骨格です。
出産時に骨盤が大きく開いてしまうため、適切な処置を行わないとさまざまな不調を招きやすくなっています。
骨盤にはどのような役割があり、妊娠・出産を経てどう形が変化するのか、詳細をみていきましょう。

●骨盤の構造・役割

中央の平たい仙骨と下端部にある尾骨、そして左右の寛骨によって骨盤は構成されています。

上部では脊柱とつながり、上半身を支える土台としての役割を果たしています。
下部では、寛骨に太ももの骨上部がはまり込むことで股関節を形成し、日常動作で体重を支えるように機能しています。

また、骨盤は腸や子宮といった臓器を包み込むような形をしており、各臓器の位置を支える働きも担っています。

●妊娠中・産後の身体の状態

妊娠をきっかけに「リラキシン」というホルモンが分泌されます。
リラキシンの作用で骨盤周辺にある靭帯や筋肉（骨盤底筋群）がゆるめられ、出産に向けて産道を広げる準備が行われます。

産後数日でリラキシンの分泌は徐々に減っていきますが、骨盤の開いた状態はしばらくつづきます。
出産後の子育てでは、授乳や抱っこなど骨盤や脊柱に負担がかかる動作が増えるため、骨盤ケアをしていないとゆがんだ状態に固まりやすくなります。

●骨盤が開くことで起こりやすい症状

・肩こり、腰痛、関節の痛み

身体を支える土台部分がゆがむため、姿勢の崩れから首や肩、腰部の筋肉に負担がかかりやすくなります。
筋肉の緊張から血行が悪化し、肩こりや腰痛などを生じる場合があります。
また、骨盤は下肢の関節にも関連してくるため、股関節や膝の痛みを引き起こすこともあります。

・冷え、むくみ

傾いた骨盤を支えるために、周辺の筋肉が強く緊張してきます。
すると下半身への循環が悪化して、冷えやむくみを生じやすくなります。

・便秘、月経痛

骨盤に傾きがあると、その中に収められている臓器の位置がずれてしまいます。
内臓機能の低下や子宮の圧迫によって、便秘を起こしたり、月経痛の悪化につながったりする可能性があります。

・尿漏れ

骨盤底筋群がゆるむと尿道を閉める機能が弱まり、ふとした動作で尿漏れを起こしやすくなります。

産後のトラブルを改善・予防するための施術に「産後骨盤調整」があります。

●産後骨盤調整とは

リラキシンの作用や育児の負担などによって、産後は骨盤がゆがんだ状態になりやすいです。

産後骨盤調整では、妊娠・出産によってずれてしまった骨盤を、本来の位置に戻すよう調整していく施術になります。

●産後骨盤調整の特徴

・ソフトな調整

筋肉や関節に強い刺激を加えると、防御反応として緊張が強まりやすくなっています。
そのため当院の骨盤調整では、筋肉をリラックスした状態にするため、ソフトな力で施術を行っていきます。
痛みは感じにくくなっていますので、強い刺激が苦手な方でも安心して受けていただけます。

・骨盤まわりの運動

調整と合わせて、運動によって骨盤周辺の筋肉を鍛えていきます。
とくに骨盤周辺のインナーマッスルを強化することで、骨盤の位置も安定しやすくなります。

・セルフケアのアドバイス

ご自宅で行えるストレッチや体操など、患者様の身体に合わせてアドバイスいたします。
施術とセルフケアを組み合わせることで、より調整の効果を得やすくなります。

●産後骨盤調整が受けられる時期

個人差はありますが、施術の開始は産後のダメージが取れてくる、産後2〜3ヶ月が目安になります。

リラキシンの作用で骨盤周辺の組織がゆるんでいる、産後1年以内に施術を受けていただくことが理想です。
また、1年を過ぎた方でも施術は可能ですので、産後の不調にお困りの方はお気軽にご相談ください。

産後骨盤調整を受けることで、以下のような効果や症状改善が期待できます。

●施術による効果

・姿勢の改善

身体の土台となる骨盤が調整されるため、その上に乗っている背骨も本来のS字に近づいてきます。
背骨は頚椎（首部分）、腰椎（腰部分）が前弯したS字の形をすることで、重たい頭を骨格でうまく支えられるようになっています。

・血流の促進

骨盤周辺の緊張が緩和されてくると、下肢への血流も回復してきます。

・内臓機能の回復（体質の改善）

骨盤が調整されると、その中に収められている臓器も本来の位置に戻りやすくなります。
内臓機能が回復してくることで、体質面の改善が期待できます。

・ヒップアップ効果

骨盤が開いた状態では、お尻が垂れてみえる場合があります。
そのため施術によって骨盤を本来の位置に戻すと、お尻を引き上げるヒップアップ効果を期待できます。
また、運動によって代謝が向上してくるため、お腹まわりの脂肪も燃えやすくなるでしょう。

●改善が期待される症状

・肩こり、腰痛

背骨がS字に近づくことで、肩や腰まわりの筋肉にかかる負担が緩和し、肩こりや腰痛といった症状の改善が期待できます。

・恥骨痛

施術によって恥骨部のずれが解消されるため、恥骨周辺の痛みが緩和しやすくなります。

・便秘

胃腸の機能が回復してくるため、便秘の解消が期待できます。

・冷え、むくみ

血流が改善することで、身体の末端部分にまで温かい血液が運ばれやすくなります。
また、老廃物の排出も促進されるため、むくみの解消も期待できます。

・尿漏れ

尿道を閉める骨盤底筋群の機能が回復してくるため、尿漏れの改善が期待できます。

当院では、産後約1ヶ月は安静を優先し、それ以降から骨盤が閉じていく産後6ヶ月までが骨盤調整の効果がもっとも得られやすい期間です。

この時期を過ぎると骨盤周辺の靭帯や関節が固くなるため、適正な期間に施術を行い骨盤のバランスを整えることが大切です。

産後骨盤調整を行うことで、過度な負担がかかりづらくなるため血行不良を引き起こしにくくなり、筋緊張や痛みの緩和を目指します。

施術前のカウンセリング時に、他の施術が必要と判断した場合、産後骨盤調整以外の施術も合わせて実施します。

ストレッチ指導を行い、根本的な改善を目指していきます。
施術の効果をなるべく持続させるために、患者様がご自宅で行えるセルフケアもアドバイスいたします。